Menu Que.how Home Category プライバシーポリシー
ドイツ語

名詞の性と冠詞

名詞の性

ドイツ語には名詞に「性」による区別があり、男性名詞、女性名詞、中性名詞の3つに分けられます。それによってこの後紹介する定冠詞や不定冠詞の形が違ってきます。ヨーロッパの言語にはよく見られるものなのですが、英語には基本的にはないもので、新たに身につけていく必要があります。

名詞がどの性に属するかは、慣れてくればつづりの形から推測できるようになるのですが、初心者のうちは覚えるしかありません。名詞の意味から想像できる性とは異なることも多いので、考えて分かるものではありません。

Mädchen(少女)が中性名詞だったり、Sonne(太陽)が女性名詞だったりするのはイメージとは違っていますね。単語を覚えていくときに性もいっしょに覚えていくことになります。他のヨーロッパ言語と共通して、ひょっとするとこの辺りがドイツ語を学ぶ上で最初の壁となるかもしれません。

男性名詞中性名詞女性名詞
Lehrer(先生)Mädchen(少女)Sonne(太陽)
Wagen(車)Auto(自動車)Uhr(時計)
Vater(父)Buch(本)Mutter(母)

定冠詞

定冠詞は、名詞の前につけることで、その名詞の指すものが具体的にどれなのか話し手(書き手)と聞き手(読み手)の双方で特定できることを表します。

つまり、「あの本」「その本」「例の本」などと言えば、相手にどの本を指しているか伝わると話し手が想定しているときに、Buch(本)の前に定冠詞をつけて、 das Buch とすることで特定できる本であることを表します。

英語だと the 一つでこと足りていたのですが、ドイツ語では名詞の性に応じて形が変わるので注意が必要です。男性名詞には der 、中性名詞には das 、女性名詞には die を使います。

das Buch は、あくまで特定された1冊を表すのですが、特定された複数のものを表すときには名詞の複数形に定冠詞をつけます。複数のときは性は区別しなくて良いですが、複数形の名詞専用の定冠詞 die を使います。「本」の場合だと die Bücher となります。

ここまでだけを聞くと、複数になっても女性名詞のときと定冠詞がいっしょだと思いますよね。でも話はそう単純ではないのです。この続きがあります。

格変化

上のところで、男性名詞には der 、中性名詞には das 、女性名詞には die 、複数名詞にも die を使いますと書きました。これは、対象の名詞が文中で主語になるときの形なんです。対象の名詞が目的語の位置に来るときは別の形になってしまいます。とりあえず表にまとめてみます。

 男性名詞中性名詞女性名詞複数名詞
1格(〜が)derdasdiedie
2格(〜の)desdesderder
3格(〜に)demdemderden
4格(〜を)dendasdiedie

1格

1格というのが、主語になるときの形です。主格ともいいます。また sein(〜である is ), werden(〜になる become )のような動詞は、補語と呼ばれる主語とイコールの関係になるものを文中に置くのですが、その補語にも1格が使われます。補語は目的語とは別のものです。英語で習った文型 S V C の C のことです。
Das Buch ist gut. その本は良い。

2格

続いて2格は所有格ともいい、誰それの車、誰それのパソコンと言うときの「誰それ」のところに使われる名詞につくときの形です。次の例だと、Vater(父)という名詞につく定冠詞が2格の形をしています。

Das Auto des Vaters ist schnell. 父の車は速い。

そのまま置き換えると「その父のその車は〜」となるかもしれませんが、いちいち言わなくても日本語では「父」と言えば話している人のお父さんに決まってますし、状況にもよりますが自分の父の車なんだったら普通は「その」はつけませんね。

英語だと the father's car というところですが、ドイツ語では基本、後置修飾で所有を表します。その際、定冠詞を2格にすることに加え、男性名詞と中性名詞には末尾に s をつけます。

die Tasche des Schülers その学生のカバン( the student's bag )
Schüler : 学生(男性名詞) Tasche : カバン(女性名詞)

固有名詞には定冠詞はつけられないので、固有名詞の場合だけ性に関係なく s をつけます。また、固有名詞のみ英語のように前において所有を表すこともできます。

das Buch Annes アンネの本
Annes Buch  アンネの本

3格・4格

4格は動詞の目的語になるときの形です。なので日本でも「〜を」にあたります。3格は間接目的語になるときの形です。人に何か物をあげるときに「〜に〜をあげる」というときの「〜に」あたります。

Die Frau gibt dem Kind ein Spielzeug.
その女性は子どもにおもちゃをあげる。 ( The woman gives the child a toy. )

ein は不定冠詞で、この後説明しますが不定冠詞にも格変化があり、ここでは4格で使われています。英語の a に相当します。

この他にも、3格支配の動詞といって、目的語として4格ではなく3格を取る動詞があります。

Das Mädchen hilft der Mutter.
その少女は母親を手伝う。 ( The girl helps the mother. )

日本語的に考えても、英語的に考えても4格で目的語を取りそうですが、helfen という動詞は3格の目的語を取ります。Mutter は女性名詞なので、もし4格で取るんだとしたら die Mutter になっているところです。

前置詞にもどの格を取るかが決まっているんです。格が変わると意味も違ってしまいます。動詞や前置詞ごとに格の用法を覚える必要があります。

Sie bleibt in der Bibliothek. 彼女は図書館にいます。(3格)
Sie kommt in die Bibliothek. 彼女は図書館に行きます。(4格)

不定冠詞

一方で不定冠詞とは、名詞の前につけることで、世の中にその名詞で表されているものはたくさんあるけど、そのうちのどれか一つといった意味が加わります。

どの「本」なのかは問題にせずに、ただ漠然と「本」というときに、不定冠詞をつけて ein Buch とすることで、広く一般の「本」(1冊)を指します。1冊ではなく複数冊あるときは、不定冠詞をつけずに単純に複数形 Bücher にすると、広く一般の「本」(複数)を指します。

Ich lese das Buch gern. 私はその本を読むのが好きです。(好んでその本を読みます。)
Ich lese Bücher gern. 私は本を読むのが好きです。(好んで本を読みます。)

上の文だと、その本を読むのが好きなのであって、他の本を読むことまで好きなのかは分かりません。一方、下の文だと、本の種類は問わずに読書が好きだという意味になります。

不定冠詞の格変化

定冠詞と同様に不定冠詞も格変化します。考え方、用法は同じです。単純に対象の名詞が特定されたものなのか不特定の1つのものなのかが違うだけです。

 男性名詞中性名詞女性名詞複数名詞
1格(〜が)eineineine-
2格(〜の)eineseineseiner-
3格(〜に)einemeinemeiner-
4格(〜を)eineneineine-

名詞の複数形には不定冠詞は当然つきません。変化の仕方は定冠詞によく似ていますね。片方を覚えてしまえば、もう一方はそんなに難しくないでしょう。

Das ist ein Buch. これは本です。( ein Buch は補語なので1格)
Er hat ein Buch. 彼は(1冊の)本を持っています。( haben の目的語なので4格)
Ein Buch liegt auf dem Tisch. (1冊の)本が机の上に置いてあります。(どの机かは明らかな状況)

auf(〜の上に on )は位置を表す意味で使うときは、3格を取ります。